ぼんさいメモ

読書と英語学習、そのほかいろいろ

鍵を回してしまった(のか?)

先日読み終えた、宮下奈都さんの『ワンさぶ子の怠惰な冒険』に「パスポート」というタイトルの日記があります。以下、その一部を紹介します。

 

たとえば1冊の本を読むとか、誰かを好きになるとか、柴犬と話すとか、それまでとは違う何かをきっかけに、世界はちょっと見え方を変えるんじゃないか。パスポートは、単なる旅券に見えて、それだけのものじゃなかった。本も出会いも、柴犬も、パスポートだ。その鍵をかちりと回すと、扉が開く。

私たちの人生は、日々、姿を変えていく。

(『ワンさぶ子の怠惰な冒険』P. 209、「6月某日 パスポート」より)

 

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読んだときは「確かにそういうこと、あるある」と思っただけだったのですが、今日、そんなきっかけになりそうな出来事がありました。

 

それは『プロジェクトFUKUSHIMA!』というドキュメンタリー映画です。明日開催されるオンラインシンポジウム「東日本大震災。百年経ったら―記憶・継承・忘却―」で、事前に視聴するよう案内されていたものでした。当時の福島のことを何も知らなかった(正確に言うと知った「つもり」になっていた)ことを思い知ったのと同時に、2011年の夏に福島で開催されたフェスティバルに集う人々の音楽や言葉、作品から伝わってくる叫びが映し出されていて、見終わってからずっとぼーっとしています。

 

シンポジウムは明日の午後なので、参加するのは厳しいかもしれませんが(アーカイブが残るかどうかもわからない)、申し込むと期間限定(2021年3月17日まで)で視聴できるようなので、ご興味あればぜひ。

 

www.ritsumei-arsvi.org

 

自分の力ではどうにもならないことを目にして、無力さというか、何をしてもむだなんじゃないかと思ってしまうことがあるのですが、それでも立ち上がって何かをしなきゃいけないことはあるわけで……なんてことを考えながら手に取った本が『彼女たちの部屋』(レティシア・コロンバニ著/早川書房)でした。

 

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『彼女たちの部屋』(レティシア・コロンバニ著)』

本に貼ったふせんは、ノートに転記したあとに全部はがしているはずなのですが、なぜか1枚だけ残ってまして。解説なので引用は控えますが(ネタバレになっちゃうかもしれませんし!)、「プロジェクトFUKUSHIMA!」を見たあとに感じたこととつながっていて、驚いたというか、怖かったというか、なんの因果や……というか。やっぱりそういうことなのかと思ってしまったのでした。