ぼんさいメモ

読書と英語学習、そのほかいろいろ

『自分の薬をつくる』を読んで

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坂口恭平さんの『自分の薬を作る』(晶文社

坂口恭平さんの『自分の薬をつくる』(晶文社)は、ずっと気になっていたけれど、タイミングが合わなくて後回しにしていた本です。さんざん大きな本屋さんの中をぐるぐる回っていたのにそこでは何も買わず、東京駅構内の文具や雑貨を取り扱っているお店の片隅にある本のコーナーで本書を見つけたので購入しました。

 

タイトルの「自分の薬をつくる」とは、自分の日課を作ってアウトプットし続けること。アウトプットを日課するためのアドバイスがたくさん出てくるのですが、どれも独創的で、でも理由を聞いたらどれもなるほど、と思うものばかりでした。

 

本書は坂口さんが以前されたワークショップを土台にしています。坂口さんが医師役、参加者が患者役で、坂口さんが悩みを聞いて処方箋を出す、という形式で進みます。ただ、診察室と待合室はホワイトボードで仕切られているだけなので、悩みも、アドバイスも全員が聞いている状況です。

 

密室じゃなくてもいいの? と思ったのですが、悩みを全員が聞くことで、「こんなことで悩んでいるのは自分だけでは」と思う悩みなんてほとんどなく、「誰かに相談したいけど誰にも言えない」とみんなそれぞれに悩んでいる(=自分だけじゃない)ことに気づいてスッキリするみたいです。このことは、坂口さんが電話で受けている悩み相談(いのっちの電話)で感じていることだそうで、それを参加者全員に聞いてもらったら必要以上に悩まなくていいと理解してもらえるのではないか、というのがワークショップを開催したきっかけだそうです。

 

印象に残っているのは、悩んで苦しくなったときがアウトプットのタイミング、だそうです。何かを生み出したいけどなかなか出てこないからつらい。だからこそ、どんな形でも、下手でもいいから出し続けること。出し続けることで、次はどうしようかな、と広がっていく。

 

先日、2年以上ぶりにTOEICを受けたのですが、それは「英語学習の次の一歩をどこに踏み出せばいいかわからない。TOEICを受けたら何か見えてくるかも」と思ったからでした。TOEICは自分自身の英語の基礎体力を知るのにいいテストだと思っているので、基礎体力の復習と補強も兼ねて。

 

テストの出来・不出来はともかく、つまらないと言われがちなTOEICの英文が好きだし、もっと理解できるようになりたいと思いました。なので、次の一歩はノンフィクションやビジネス英語を軸に学習しようと思っています。いや、それ以前に、英語学習のモチベーションがようやく戻ってきたのがうれしいです。

 

本の話に戻りますが、「作品のクオリティに関係なく、毎日何かアウトプットする」とアドバイスする本はたくさんあります。でも、本書は坂口さんの体験やワークショップを通じて気づいたことが綴られているところが類書にはない魅力です。

 

ブログを書き始めたのも、頭に浮かんでいることを毎日アウトプットできたら、と思ったからです。続けられるよう、試行錯誤しつつ、でも、考えすぎずにやってみようと思います。